【九十九里平野】【成東・東金食虫植物群落】
千葉県東部・九十九里浜の背後に広がる【九十九里平野】は、南北に約60キロメートル、東西に約10キロメートルにわたる海岸平野です。
九十九里浜の海岸線に沿って南西から北東に細長く延び、北東端は旭市の刑部岬から、南端はいすみ市の太東崎に至り、標高は、最高点でも10メートル以下の平坦な地域です。
この九十九里平野は、縄文海進の後に陸地が海側に拡大してできたもので、中世以前は【玉の浦】と呼ばれる海でした。
中央部から北東側は稲作地帯で、北東端にあった湖(椿海)は、江戸時代に干拓され、消滅しています。
房総台地との境界が分水界となる南部の地域では、江戸時代に紀州からの漁民が入植し、漁業によって繁栄しました。
中央(栗山川中流域)は湿地植物の生育地域で、山武市と東金市の境界にある【成東・東金食虫植物群落】は、絶滅が危惧されている食虫植物などの群落地となっています。
この地の資源は、岩石層中の鹹水と呼ばれる地層水にガスが溶けた状態で存在している「水溶性天然ガス」です。ガス田の鹹水には海水の約2,000倍のヨウ素が含まれており「ヨウ素」も貴重な資源となっています。
【成東・東金食虫植物群落】とは、千葉県山武市島(旧成東町島)と千葉県東金市上武射田(かみむざた)にまたがる湿原です。 九十九里平野のほぼ中央に位置する標高5m前後の湿原で、かつて九十九里平野にはこのような低湿地が数多くあったのです。
千葉県に自生する10種の食虫植物のうち8種が自生する湿原で、群落内には2本の木道が整備され、北区・南区・追加指定区に分かれており、水環境の違いによりそれぞれ異なった植生を呈しています。
いすみ市の「太東海浜植物群落」や埼玉県さいたま市の「田島ヶ原サクラソウ自生地」、岐阜県中津川市の「ハナノキ自生地」などとともに、日本で最初の国指定天然記念物に指定されたのが1920年。当時の名称は「成東町肉食植物産地」でした。
1978年に「成東・東金食虫植物群落」に変更され、1985年に保護増殖事業(植生回復事業)が始まり、1987年には案内活動が始まります。2005年には、かつての指定地(東金市側の国有地で戦後食糧増産のため1956年に天然記念物指定を解除)が再指定され、2007年には「日本の貴重なコケの森」に認定されております。
管理人のコメント
九十九里平野に育まれた「ガス」と「ヨウ素」が千葉の産業のベースとなっていたのですね。
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投稿日 2017/〇/〇
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