【長生】【一宮町】
【長生郡（ちょうせいぐん）】は、一宮町・睦沢町・長生村・白子町・長柄町・長南町からなる千葉県の郡で、1897年に【長柄郡】の3町17村と【上埴生郡】の1町5村が統合し発足しました。
1952年に、茂原町・東郷村・豊田村・二宮本郷村・鶴枝村・五郷村が合併して【茂原市】となり郡より離脱し、1954年に太東村・夷隅郡古沢村が合併して【夷隅郡太東町（いすみ市）】となり、郡より離脱します。
平成の合併では、5町1村と茂原市との合併を目指して協議会が設置され、合併後の新市名（長生市）や市庁舎（茂原市役所）まで決まったのですが、2004年、【茂原市】が離脱を表明。2007年に再び合併協議会が設置されますが、今度は【長生村】が離脱を表明。もし、長生7市町村が合併していたら千葉県から「村」がゼロになる見通しでした。
千葉県で唯一の村【長生村】は同郡の中では最も人口が多い自治体です。農業用水用の溜池が点在する地です。
【長南町】は房総丘陵の中に位置し、ゴルフ場が多い地です。熊野の清水（名水百選）が湧出する地でもあります。
【長柄町】は長柄ダムが所在する地です。【長柄ダム】とは、利根川の水を房総半島へ導水するための「房総導水路」の調整池で、東金市の「東金ダム」と共に建設されたものです。栗山川（両総用水）から取水された利根川の水を長生郡・松戸市・千葉市などに供給し、南房総導水路から南房総へも送水しています。高さ52ｍのアースダムで、アースダムとしては日本屈指の規模です。
ダム湖の一部は市原市（旧市津町）に接しており、「市津湖」と命名されています。 このダムに隣接する地にアウトレットモール「アウトレットコンサート長柄」が開業したのが2004年。しかし、親会社（エスグランドコーポレーション）の倒産により2009年に閉鎖され、跡地は「ロングウッドステーション」として、イベント会場やロケーション撮影用のスタジオとして利用されています。
【白子町】は、中世末に紀州の漁民・西宮久助が漂着した地。紀州漁法である地引き網を伝えたことで、「九十九里浜いわし漁」の発祥地となりました。1955年に白潟町・関村・南白亀村が合併して新設された市で、町名の由来となった「白子神社」は平安時代の創建です。テニスコート数日本一を誇るテニスの聖地でもあり、白子温泉を擁する保養地です。
【睦沢町】は、1955年に土睦村と瑞沢村と長南町の一部が合併してできた村（1983年に町制施行）。2002年にできた「道の駅つどいの郷むつざわ」は、2019年に場所を移転し「むつざわスマートウェルネスタウン・道の駅・つどいの郷」として生まれ変わりました。
【一宮町】は、九十九里浜の最北に位置します。 この地が「一宮」と称されるようになったのは、上総国の一宮「玉前（たまさき）神社」が存在することによります。玉前神社は、神武天皇の母・玉依姫命（たまよりひめのみこと）を祀る神社。黒塗りの本殿が特徴的です。
戦国時代、この地に一宮城がありました。この一宮城は里見氏に攻められ、江戸時代は一宮藩として脇坂氏や加納氏によって治められました。
1897年に「房総鉄道（大網～一ノ宮）」が開通し、1911年に「一宮海水浴場」ができますが、この頃から別荘地として有名になり、「東の大磯」とも呼ばれました。
一宮海水浴場近く（一宮川沿い）の「ホテル一宮館」は明治30年代の建築。1916年に芥川龍之介が久米正雄と滞在したことで有名です。
戦時中は、風船爆弾1号が一宮海岸より打ち上げられました。1945年には千葉県長生郡西村上空を飛行中であったイギリス海軍艦載機が撃墜され、搭乗員のフレッド・ホックレー志願少尉が日本陸軍に殺害される、という事件もありました。
1965年に両総用水が完成し、1972年には町内全域に上水道が整備され、1979年、当時「日本最大級」とされた省エネルギー温室団地が完成します。
毎年9月13日、この地で開催されるのが「上総十二社祭り」です。 玉前神社の祭礼として行われるこの祭りの起源は807年に遡り、「上総はだか祭り」の名でも知られています。海から上がった9基の神輿が、８ｋｍもの距離を猛スピードで走り抜け、釣ヶ埼海岸に結集し、一斉に空高く持ち上げられる、という迫力のあるものです（2011年から東日本復興祈願として始められたそうです）。
その舞台となる「釣ヶ崎海岸」は海水浴場ではありませんが、サーファーのためにシャワーやトイレが整備されており、2020年の東京オリンピックのサーフィン競技会場となっています。
管理人のコメント
「ホテル一宮館」に滞在中、芥川龍之介は塚本文に数多くの恋文を送り、後に結婚します。この手紙が建物内に展示されているそうです。ゆるきゃら「一宮いっちゃん」もよろしく！
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投稿日 2017/〇/〇
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